完結編を待ちつつ読みたい石ノ森萬画【完結編準備編】



『アガルタ(原題:星の伝説アガルタ)』
★★★★★★★★★★★★
(1974〜75年 週刊少女コミック連載 後に『アガルタ』に改題)
朝日ソノラマ サンコミックス:全1巻/大都社 スターコミックス:全1巻


★ダイジェスト★

石森章太郎は押しかけファンの一人、橘レミと喫茶店でUFO談義に花を咲かせていた。
そこにアシスタント志望の若い男が現れる。
アシスタントに採用されたその男の周りで様々な不思議なことが起こるのを、
レミは目の当たりにする。
彼の故郷にその鍵があるらしい。彼の故郷の謎とは?

【緋鳥記】

                  


★入手状況(2004年7月現在)★

単行本絶版。中古は2,000円前後。
(絵柄もきれいなのになぜか再版されず 文庫版への復刻希望!)

【人参のしっぽ記】



朝日ソノラマ サンコミック版は、古本屋でもあまり見かけません。
もしあったら1,000円〜1,500円が相場だと思います。
ネットでも良心的なところはそのくらいの値段ですね。

【緋鳥記】


       


★ここがオススメ!!★

物語は石森ファン常連でUFOマニア、橘レミと先生のお喋りから始まります。
場所は先生いきつけの喫茶店「ラタン」のもよう。彼女ネーム構想中におしかけた?
そこへ東北から上京した青年黒木シュンが訪れて 彼はアシスタントに採用される。

『アガルタ』とはラマ経典に登場するアトランティス地下城砦の名称。
シュンが先生に持ち込みしたSF漫画のタイトルで、のちに重要な意味をもつ。

彼女はちょっと影のあるイケメン、シュンに興味津々 二人は付き合うようになります。
ふたりを見つめる不審な人影…それは村からの追手 ユキとユウ姉弟だった。
(ユウがチビジョー:笑)
レミの周辺で怪現象が相次いで起こると、シュンは突然石森プロから姿を消す。

illustrated by 人参のしっぽ 



フィクションとはいえ、石ノ森先生自身が登場し自宅や仕事場が詳細に描かれていて
ファン心理をくすぐります。
レミ談「勝手知ってる他人の家! コンニチワ皆さん ア…先生」う、うらやましい(涎)

彼女ヒロインらしく当然フランソワーズ似です(笑)ファッションや邸宅も70年代バリバリ。
夢でシュンとのキスシーン連続♪ これまた93ぽく回想して赤くなる彼女が可愛い(#^^)

シュンの消息を求めてレミは単身彼の故郷へ向かう、もうお嬢さん一途ですわ。
秋田県鹿角市那須加村 ……近辺はUFOも多数目撃される東北ミステリーゾーン。
ここで彼女は様々な謎と出会う はたしてシュンの行方はわかるのか???

東北キリスト終焉地説をパズルを解くように語る石ノ森流解釈が独創的で面白い(^^)
しかも終盤UFO群飛来シーンは「神々との闘い編」ラストと酷似!
この物語も結末は曖昧ですが、逆に『完結編』伏線として読むとテイストを楽しめます。

【人参のしっぽ記:評価★★★★☆】


   



主人公のレミ…『イナズマン』のリオン系のお嬢様キャラ。
主人公のシュンは(ジュン+光明寺ジロー)÷2といった雰囲気で、
『ブルーゾーン』と同じく「石森先生のアシスタント」として登場。

 「石森先生とレミ」illustrated by 緋鳥



石森先生が作中に登場し、メタフィクションの様相を呈している手法は
石森作品では初期からこの時期までかなり使われていました。
『完結編』の導入部もこれに近いですね。

津軽のキリスト伝説、アトランティス、ムー、アダムスキー型UFOなど、
『神々との闘い編』と共通のファクターを少々アレンジして流用しています。
オチはこじんまりと収束してしまいますが、
『神々との闘い編』の続きの「一つのヴァリエーション」と位置付けられる作品です。
幼馴染の女の子の弟が、これまた「幼少期の島村ジョウ君」です(笑)

【緋鳥記:評価★★★☆☆】

   



こちらが頬を赤らめるほどの純愛を描いた少女漫画です。
(ただ、少女漫画としては、描かれた時期が30年前としても少々古くさい感じがします)
しかし、その背景には「円盤」「宇宙人」「アトランティス」「超能力」といった
完結編的SFファクターが溢れています。

中でも『天使編』で示唆された「人類の誕生において加えられた作為的な操作」
という内容に踏み込んで大胆な解釈をしているのは、特に注目に値するでしょう。

さらに、ラスト近くで大量の円盤が、舞台となった東北地方の山村上空に
浮かぶシーンは『神々との闘い』のラストで描かれた物とそっくりです。

完結編を読み解くための大事な作品の一つだと思います。
ただ、個人的には「テーマ」は同じでも完結編での「解釈」は
相当違う物になると予想しています。

(それにしても、ヒロインの橘レミと、平ゼロのフランソワーズの
大胆な服装のセンスは良い勝負だなあ〜)

【まつもと記:評価★★★☆☆】


           


完結編的に重要な作品なのは間違いないでしょう!
が・・・しかし・・・とにかく絶版なので、ちとお高いのですよ。
もちろん他のレア本と比べると入手しやすいのは確かなのですが、
例えば1,000円とかに見合う内容か、と言われるとう〜ん??(辛口;)

もしバッタリ安く売られているのに出会ったら、ぜひぜひゲットしてみてくださいね。
ちなみに私は大都社版を300円で買いました(^▽^)v
あるところにはあります!!!

シュンのおさななじみ・ユウがちびジョーなのが(完結編とは関係ないけど)見どころvv

 illustrated by るな



とはいえ、ラストはいかにも石ノ森なんですケド・・・(;_;)

そうそう“東北のキリスト伝説”、みうらじゅんのスライドショーでも
取り上げられてました(笑)
青森の新郷村(旧:戸来村/へらいむら)ってとこに“キリストの墓”が
あるそうですわぁ・・・近くにはピラミッドもあるとか〜〜〜?
こんくる行脚の旅にいかがでしょうか???(^_^;)

【るな記:評価★★☆☆☆】

 

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