完結編を待ちつつ読みたい石ノ森萬画【完結編準備編】



『番長惑星』
★★★★★★★★★★★★★★★★★
(1975〜76年 週刊少年チャンピオン連載)
秋田書店少年チャンピオンコミックス:全5巻/竹書房文庫:全3巻


★ダイジェスト★

リュウこと等々力竜は中学で毎日ケンカ三昧。
ある日ケンカの最中、稲荷神社の祠に逃げ込み洞窟へ落ちてしまう。

そこでリュウは不思議な体験をする。もう一人の自分と衝突したような…気のせいかな?
祠から出てみると、どうも変だ。いつもの町なのに辺りは暗く人影が無い。
道路にはロボット警官が闊歩していて、夜間外出者を容赦なく撃つ。
何だここは!? 俺はどうしたんだ?!

クラスメイトのハカセが言うには ここでは殺人は許可証さえあれば合法なのだと。
そして強い者が勝つ弱肉強食理念が当たり前の社会。

「リュウ、君はきっと祠の中でそっちの地球から“こちら側”へ落ちたのです。
そうして“ふたつのリュウ”はひとりになった」

パラレルワールド(多重世界)= 時間と空間のずれた宇宙に存在する
まったく同じもうひとつの“双子惑星(地球)”

見慣れた風景、変わらぬ両親、同じ友人たち、なら理論上は全く同一なはず。
だけど俺の世界と少しずつ違うのは何故だ。

“もうひとつの地球”で新しい仲間を得たリュウは元の世界へ戻れるのか。それとも……?

【人参のしっぽ記】

         


★入手状況(2004年1月現在)★

少年チャンピオンコミックスなら中程度品で全5巻2,000円位。
竹書房文庫版はまだ新刊で入手可能です。

【緋鳥記】



新刊で購入可能。文庫本:竹書房文庫 全3巻:各600円

【人参のしっぽ記】



竹書房文庫の付録>
1巻:京本政樹氏『石ノ森超能力HERO作品の集大成!』2P
2巻:佐竹雅昭氏『リュウに見習え! リュウに学べ!!』2P
3巻:雨宮慶太氏『僕の映像魂をいつもゆさぶる、石ノ森作品』2P

【るな記】

     


★ここがオススメ!!★

超能力の覚醒、南米の遺跡のオーパーツ、ピラミッド、イースター島のモアイ、鳥人、円盤など
数多くのファクターが『天使編&神々との闘い編』と重複しています。

『神々との闘い編』で「前衛」を標榜するあまり、「大多数の普通の読者感覚」との乖離が
進行してしまった反省からか、『エンターテイメント性』に溢れた展開です。
イナズマン的なテイストも垣間見ることが出来ます。

「等々力 竜」illustrated by 緋鳥



個人的には平成版アニメのスタッフが作った『完結編』に最も近い作品だと思います。
石森作品の「少年マンガ」の最高峰として、その醍醐味を存分に味わえる作品です。

【緋鳥記:評価★★★★★】




“もうひとつの地球”にひょんなことから迷いこんだ中学生リュウ。
べらんめえで熱血純情、ややオッチョコチョイな性格が
『リュウ三部作』の中でもとてもキュートな主人公。
力のみが勝つ弱肉強食な世界なのに、それでも自己嫌悪して悩むとこなんて青春してますう♪

少年主体だからサブキャラが若年層ぞろい。みな個性的でとても楽しい。
中学生なのにめちゃめちゃ渋い「ツギハギ」戦闘手腕は一流のオカマくん「カタメ」
紺野さんごひいき、スケ番「ポルノちゃん」がお気に入りです (^^)v

女の子登場が多いのも特徴あります。ポルノちゃんはじめ マリッペ、ツギハギの妹ミヤコ、
ネズミくんのお姉さん(なぜか美人!)
リュウ親分(←バクダン達はそう呼ぶ)モテモテでニヤけますが、
どれも進展がないのがちょっと残念。
まあ“元の世界”のマリッペが本命ということでいいのかな。

【人参のしっぽ記:評価★★★★☆】

    


私が『009』に出会った新ゼロ放送の頃に読んでいた数少ない石ノ森作品の一つなのですが、
当時はこの作品が「憧れの009の完結編」と関連性があるとは、全く気付きませんでした。
(しかも、展開の早さと、結構派手な暴力的描写と、女に囲まれてデレデレする
主人公についていけず、途中で挫折)

ところが大人になって読み返すと、「超能力」「モアイ」「鳥人」「古代マヤ文明」
「ピラミッド」「円盤」などなど、完結編できっと出てくるであろうファクターが
作中にてんこ盛り。

さらに余韻を残しつつもきっちり完結しており、投げかけられた様々な
「謎」に説明をしてくれています。
完結編を読み解くためにはやはり外せない一本です。

にしても、『天使編』『神々との闘い編』の二作品とは受ける印象が全く違います。
(実はこんなノリの完結編だとイヤだなあ〜というのが私の本音です)
それは、明るくマッチョな主人公の性格と、何よりも「判りやすさ」を
心がけたと思われる作品のエンターテイメント性の高さのためでしょう。

『神々との闘い編』の商業的失敗以降、エンターテイメント性の高い方向に転回した
石ノ森SFの集大成的作品、と言って良いかと思います。

【まつもと記:評価★★★★☆】

            


いろんな方からオススメされていたこの作品を、やっと読みました。
読んでびっくり。これってこんくるーじょん!?

平ゼロ完結編序章の続きを読んでるみたいです!
そういう意味では、完結編待ちに読むには、うってつけの作品でしょう。

なのに何故評価が★4つなのか?
理由は、私的に主人公リュウのメンタリティーに少し疑問がある・・・
というか、ちょっと情緒に欠ける感じがするからなんですよね・・・。

闘うことを迷ってはいるものの、基本的にはマッチョな性格。
力で子分を束ねる彼の周りには、うはうはとカワイコちゃんたちが集まってきます。

 illustlated by るな



とにかく色んな意味で、少年マンガ
パワフルでダイナミックなケンカシーンが連続し、あっさりと人が死んでしまう。
それだけに、後半、どんどん力を増していくリュウの姿は、ちょっと怖いものがあるのです。
結末を考えると、もしかすると、それが石ノ森先生の狙いなのかも・・・・・しれませんが。

こんくるーじょんの本編が発表されるまでに、もう一度、読み直したい作品です。

一番好きなキャラは、なんといってもツギハギ!!
男気あふれるその生き様に、もう惚れましたっっ(*´`*)
ハインリヒファンならきっとハマると思うんだけどな〜。

下水道の怪物@『地底前世紀』、“犬”、悪魔鳥など、パラレルワールドならではの奇妙な生物も印象的。
リュウ&ツギハギ VS 八つ目ネコ@『標的は影』は、地下鉄で読んでいて戦慄しました。
暗闇に浮かび上がる、光の航跡・・・オススメです!

【るな記:評価★★★★☆】

 

inserted by FC2 system