完結編を待ちつつ読みたい石ノ森萬画【完結編準備編】


『グリングラス』
★★
(1983年 週刊少年サンデー連載)
小学館 少年サンデーコミックス:全4巻


★ダイジェスト★

時は1995年、城東学園シネマ研究会のスタッフはいつものように
オリジナルの特撮ヒーロー物『グリングラス』のロケを行なっていた。
しかし撮影途中に起こったアクシデントに着ぐるみではない
「本物のグリングラス」が現れ、事態を解決してしまう。
更にその後、主人公の椿三太郎の命が狙われる事態に…。

グリングラスの正体とは?そして三太郎を狙う敵とは?

【緋鳥記】

   



★入手状況(2004年11月現在)★

少年サンデーコミックス(小学館:1984年刊 絶版)のみです。
流通量が極めて少ないようで、バラで1冊1,500円〜、4冊セットで6,000円〜1万数千円程。
『ガッツGO!魔人軍』や『アニマル学園チョメちゃん』等よりはマシですが、
入手には根気とある程度の勇気(高価!)が必要ですね。

【緋鳥記】

               


★ここがオススメ!!★

描かれたのが1983年で、舞台は1995年の世紀末の東京となっています。
石森氏が考えた1985年時点での『近未来予想図』でもある訳で、21世紀に入ってしまった
今から見ると非常に興味深い描写が多々あり、面白いですね。

そして、この作品を一言で言うならば『80年代版リュウ3部作』でしょうか。
単行本で言うと全4巻なのですが、3巻まではサスペンス仕立ての学園推理物として
成立していますが、4巻に入ると『ゼロナイ後期』風の1話完結のインサイドストーリーが続き、
そして怒涛の最終章へと繋がります。

最終章はちょっと… 石森氏もネタが尽きたんだろうなぁ、という観が否めませんでした。
絵もピークの70年代や60年代終盤に比べると雑さや粗さが目立ちますし、アクション的な
演出などもイマイチ… 絵柄って本人の意思ではどうしようもないほど変わってしまうのですね。

とはいえ、頭の中を空っぽにして読めば、「あ、ここって番長惑星… ここは仮面ライダー!!
ここはロボット刑事… ああ、ここは何となく雰囲気がG・Rナンバー5か、胎児の世紀っぽい…」
等といった思いをかきたたせられ、それらを後でまた読んでみようかな? などという気持ち
にさせられるのは、この作品が『リュウの道系作品』の最終作であり、
石森作品の集大成であるからです。

 illustrated by 緋鳥
グリングラス… 何となくロボット刑事入ってます(^^;       



表の主人公『椿三太郎』はリュウ=サブ系のキャラデザイン。
裏の主人公『氷川悠』はジュンが眼鏡をかけた姿。
性格は三太郎がキカイダー01=イチローだとすれば、さしずめ悠はキカイダー=ジロー
といった感じなのですが… この先は本編を読んでお楽しみください。

また、この作品を実写化する企画もあったようですが、結局はお蔵入りになってしまったそうです。

【緋鳥記:評価★★☆☆☆】



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