完結編を待ちつつ読みたい石ノ森萬画【完結編準備編】



『リュウの道』
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
(1969〜70年 週刊少年マガジン連載)
講談社KCコミックス:全8巻/竹書房文庫:全5巻/他


★ダイジェスト★

 第1部

シリウス第5惑星に向かう恒星間探検船「フジ一号」に密航した16歳の少年柴田リュウが、
往復40年の冷凍睡眠からただ一人目覚めて目にしたものは、核戦争後の荒廃した地球だった!

リュウは、そこで出会った少女マリアとその弟ジミイなどの仲間達と、
残された人類とその文明を求めて旅立ち、放浪の末に、核戦争後の1,000年を生き延びた
ミュータントの老人が支配する町にたどり着く。

彼は、この老人から「神」として選ばれ、彼の守ってきた町と、「人類」の未来を託されることになる。


 第2部

リュウと仲間達は、異次元からの怪物、あるいは自ら「新人間」を名乗る生命体といった、
彼らの町を襲う様々な侵略者と闘う。

その闘いの中、リュウは潜在的な超能力を完全に覚醒させる。
そして、遂に「神の意志」に呼ばれ、人類の存亡を賭けた闘いに臨む事になるのであった・・・。

【まつもと記】

         



★入手状況(2004年5月現在)★

新刊で購入可能。竹書房マンガ文庫:全5巻 各600円

【人参のしっぽ記】



オリジナルは講談社KCコミックス全8巻ですが、KCSP全4巻(1冊が厚い)もあります。
程度中クラス全巻セットで3,500〜4,000円位が相場だと思います。

竹書房文庫は、セリフや描写などオリジナルにほぼ忠実なのですが、
肝心のリュウとマリアの親密2ショットの部分が「コピー起こし」なので絵が最悪です!
こちらはまだ新刊で購入可能だと思います。
古本だと値段はピンきりですね。
こないだ見た全5巻セットは2,000円でした。普通は1冊100円〜350円だと思います。

【緋鳥記】



この時期の講談社KCコミックスは紙質が悪く、変色がひどいです(^_^;)
なのですが・・・表紙のカッコ良さはピカ一!!
かなり探して状態の良いものを購入しました。満足満足♪

また、『Shotaro World』を編集された福田淳一さんが、同人誌『サイボーグ009研究叙説』
Vol.3およびVol.4で、完結編について考察されています。
『リュウの道』など他作品と『神々との闘い』の類似点など、必読です!!
通販などの詳細は↓のバナーからどうぞ。



【るな記】

     


★ここがオススメ!!★

日本初恒星間宇宙船に密航した少年、柴田リュウ。
彼が長い冷凍冬眠から目覚めてみると見知らぬ惑星に不時着していた。
しかしそこは変わり果てた未来の地球だった! …こう書くとまんま『猿の惑星』話(笑)

猿人登場して出だしはたしかにそっくり、でもそこで同じネタを続けないのがさすが少年漫画(^^)
リュウは激変した地球環境に戸惑いながらも、逞しく成長してゆきます。

賭け値なしのサバイバルロード、負ければ即 死を意味する。普通の少年ならすぐに挫折だろう。
だがリュウはどこか違う素質を持っていた。未知のメカを動かし、初めて出逢った
イギリス人姉弟と英語で話す。
後に冷凍中の睡眠学習によるものと判明するが、リュウの能力はそれだけではない。
猿人ペキ、ミュータント、老サイボーグらも仲間となり文明世界を探し求めてさすらううち、
彼はテレパシーを習得しイルカや一つ目ミュータントと会話できる、さらに自分の体組織や
他人の意識を操れるようになるのだ。

終盤でミュータントの長から秘密を明かされ、壮大な結末へと続く終章はただもう圧倒されます。
どんどん“神人”へと変わってしまうリュウ…… こっこれは『こんくるーじょん』に
限りなく近い展開っすよ(@@)

 illustrated by 人参のしっぽ



『リュウの道』はアフター・ハルマゲトンを想定したシミュレーション漫画として描かれています。
つまりリュウ達の旅路での困難は、様々な地球未来の選択肢だということです。
だのに今読むとなんて身近な問題なことか!
とても30年以上も前の執筆とは思えません、すごい凄すぎます。
文庫本巻末の解説者コメントにもありますが、SFを越えて予言にもとれる濃〜い内容なのです。
どこぞの独裁政権解放のため各国で占拠してる と、のたまう某指導者に本気で読ませたい… 
他にもやることあるでしょうと。

さて、『リュウの道』エピソードには切っても切れない作品があります。
映画に無関心派もタイトルは知る珠玉のSF映画『2001年宇宙の旅』監督:スタンリー・キューブリック

ところでこの映画、美術監修(=背景,メカ,建築物などのデザイン)を
漫画家 手塚治虫氏に依頼するはずだったことはご存知でしょうか。
超多忙のため手塚先生は断ったそうですが、石ノ森先生にならどうしたか?
無類のSF,映画マニアである先生はたぶん引き受けられたでしょう。
ラスト数十ページはその映画に対する先生のオマージュに溢れています。
石ノ森版『2001年宇宙の旅』はこの漫画をそのまま映像化したものかも… 見たかったなぁ。
『リュウの道』は読者をそんな気にもさせるSF漫画大作です。
星1つ増したいぐらい、推薦します!

【人参のしっぽ記:評価★★★★★】

    



表層的には当時流行っていた『猿の惑星』『2001年宇宙の旅』や、
SFの『地球の長い午後』や『トリフィドの樹』などのプロット流用を思わせる部分もあるが、
最後の最後までストーリーが「破綻」せずに奇麗にオチている…。これが奇跡です。

石森氏がよく描かれていた「エスパー覚醒もの」の終着点、最高峰であるだけでなく、
間違いなく石森氏の遺された全作品の中でも最高傑作の筆頭だと思います。

ヘンダーソン姉弟。
姉のマリアは<天使編最後期〜神々との闘い編>のフランソワーズに酷似(笑)
弟のジミイのビジュアルは島村ジョウの幼少期そのもの(爆)

illustrated by 緋鳥 
    「リュウとマリア」



マリアは主人公リュウの恋人。途中ものすごく可哀そうな状況に落ち入るものの、元気に復活。
<特に後半リュウとのラブ度高し。特に浜辺のシーンは注目!>

【緋鳥記:評価★★★★★】


 illustrated by 緋鳥


         


私にとっては、009の完結編を読み解くための作品、というよりも、
現段階では完結編そのものに等しい存在の作品です。

実際、発表された時期も『天使編』『神々との闘い編』と被っているので、
石ノ森先生が当時この2作品を最後まで描いたら、『リュウの道』と相当近い内容になったのでは?

完結編である『Conclusion GOD's WAR』も、つまらない物を発表するくらいなら、
『リュウの道』のキャラクターをそのままゼロゼロズに置き換えて出しても全然構いません。
(都合の良いことにヒロインのマリアはフランソワーズにそっくりで、
ビジュアル的には描き換えの必要なし)

今回のリスト中でも必読の一本です!

【まつもと記:評価★★★★★】

            


とにかく読め!!! 読むのです!!!!!

まっとうなコメントは、他のみなさんの↑レビューにお任せいたします。
賛辞の数々は、決して大袈裟じゃありません。読まないと後悔しますよ〜〜〜!!

さて、今回私としましては、番外編として『ジョウの道』なるレポを作成いたしました。
『リュウの道』リュウとマリアを93に変換してしまうという、バチ当たりな企画です(^_^;)
どうぞ同志の方のみ、ご覧になってくださいね。
覚悟の出来た方は、こちらからどうぞ♪

【るな記:評価★★★★★】




★番外★

『終わりから始まる物語』(竹書房文庫『原始少年リュウ』2巻に掲載)
『リュウの道』ではコールドスリープという技術が出てきますが、
本作のプロトタイプともいえる『終わりから始まる物語』(1967年 赤旗日曜版連載)
では放射能汚染が薄れるまで、主人公達が<核シェルター>の中で
コールドスリープされているという設定でした。

この主人公達が白黒黄とり混ぜの混血孤児の少年少女なのです。
お金持ちの博士が彼らを引き取って育てていたが、核戦争が起きた為、
極秘裏に核シェルターに収容して生き延びさせた…という訳です。
一部テーマ的に009と共通したものがあります。
そしてメリーというヒロインの容姿がフランソワーズそのもの(笑)
主人公はサブロウといいます。この人けっこうタラシです(爆)

【緋鳥記】

 

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