完結編を待ちつつ読みたい石ノ森萬画【とにかくオススメ!編】


『佐武と市捕物控』
★★★★★★★★★★
(1966年〜67年 少年サンデー&別冊少年サンデー連載/68〜96年 ビッグコミック他掲載)
小学館文庫:全10巻(旧版は全13巻)/朝日ソノラマ サンコミックス:全17巻/
講談社 豪華版(ハードカバー):全5巻/小学館 豪華版(ハードカバー):全4巻/
秋田書店 トップコミックス:全6巻/秋田文庫『浮世双紙』に一部掲載/他
※別巻『縄と石捕物控』笠倉出版社:全1巻/番外編 『死やらく生』中公コミック:全1巻


★ダイジェスト★

ところは大江戸八百八町、お歯黒長屋。向かいつ将棋指す二人の男。
ひとりは下っ引きの佐武 まだほんの若造。目下、佐平次親分のもとで目明し修行の身。
かたや按摩 松の市。年齢を経た背中と坊主頭はなかなかに渋い。
飄々とした風体だが、一たび仕込み杖を抜けば及ぶ者など無い居合の名人なのだ。
… 時刻を告げる鐘が鳴る…     ……今宵いずこで事起こり

「 いくぜ 市やん 」
「 あいよ 佐武やん 冷える晩だぁ…… 」

「 あいにく 月も出ちゃいねえ 」
「 …へっへ “目あき”は不便だねぇ 」

「 ちぇ 市やんには かなわねぇな 」
「 お互いさま 」

江戸の町でうごめく所業悪事。どんな小さな事柄でもこのふたりには糸口となる。

「 黙って見過ごす性分じゃないのでねぇ  …旦那方 」
「 …まったくさ 神妙にお縄をちょうだいしろい!! 」

捕り物異色コンビ 佐武の捕縄は風を裂き、市の刃(やいば)が闇を斬る。
石ノ森章太郎渾身のペンタッチが冴えわたる痛快時代劇画!

【人参のしっぽ記】

            


★入手状況(2003年12月現在)★

新刊で購入可能:小学館文庫判シリーズ 全10巻 各600円
        ・別巻 『縄と石捕物控』 笠倉出版社 定価600円

入手困難:メディアファクトリーShotaro World『佐武と市捕物控』全4巻
     ・番外編  佐武と市捕物控『死やらく生』 中央公論社

【人参のしっぽ記】



いろんな版がありますが、現状一番入手しやすいのは、小学館文庫版だと思います。
数巻を除いて注文可能だと思います。

【緋鳥記】



★ここがオススメ!!★

『佐武と市捕物控』には作風の違う2つの作品群があります。
もともと少年向けに描かれたもので『少年サンデー』連載
キャラも目が大きく可愛い感じ。
■『縄と石捕物控』もしくは『石ノ森マンガ学園』に一部収録。SW版1〜2巻ほか

そしてぐっと大人で劇画調のもの。『ビッグコミック』連載
主にこちらの方が一般には知られています。
■ほとんどは単行本化。秋田文庫『Shotaro浮世双紙』に一部収録

ストーリーマンガとしては初のアダルト誌連載であったためかどんどん
ビジュアル面に力を入れていく過程が読み進むとよくわかります。
なかでも中期以降 コマ割のすごさ、アングルのカッコ良さはピカ一です 唸ります。

illustrated by 人参のしっぽ 



過去にモノクロアニメ《DVD全5巻》
(↑渋い!機会あればぜひご覧を 佐武:富山敬+井上真樹夫 松の市:大宮悌二)
実写で2回映像化。

実写版TVシリーズでは 1作目が《'71にTBS系で『十手野郎捕物控』として制作》
佐武:なべおさみ 松の市:藤岡琢也  さすがにこれは見ていません (^^;;

印象にあるのが2作目。《'81制作 フジテレビ系 時代劇スペシャル『佐武と市捕物控』全4回》
若き三浦友和さんが演じられた佐武 これは実にイメージぴったりでした。そのときの市やんは
たしか梅宮辰夫(梅宮アンナパパ)氏。当時は氏もスリムだったんですよー(苦笑)

ヒロインみどりが誰だか長いこと思い出せなかったのが、資料により
名取裕子さんであることが判明。あーすっきり(^^)

手元に録画ビデオは無く、単発ドラマのせいかソフトも存在せず。もう一度見たいなぁ。
それよりこんなにディテール凝った時代劇漫画、座頭市がリメイクできたのだもの。
東映さん! 映画化してくださ〜〜い!!

とと、本編からずれた紹介文になってしまいました。
とにかく時代物には興味ないという方でも一度は読んでみてください。
佐武と市やんの絶妙なコンビネーションと巧みな背景描写に、
たちまち気分は江戸下町へタイムスリップすること受けあいです。

【人参のしっぽ記:評価★★★★★】

      



作中に登場する「江戸」の町の風景は、石森氏のふるさと「中田町石森」の昔の街並が
モデルになっているそうです。
そして余りに人間味あふれる佐武&市のコンビネーションが魅力的です。
『巾着きり』というエピソードがお薦め。

【緋鳥記:評価★★★★★】


 illustrated by 緋鳥
佐武&みどり(『巾着きり』より)




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