サイボーグはクローン羊の夢を見るか?
★2003・未年お年賀トップ★





クローン人間は、ついに誕生してしまったんでしょうか?

得意気に記者会見する女性科学者を見た時の、私の第一印象

『怪物島編』の、ドクターセム氏にそっくり・・・。

(彼の名前、今出版されている本ではドクターマム氏になってますね。

その配慮は重々わかっているのですが、でも私にとってはやっぱりセム氏なんだよなぁ・・・)



彼女のあまりにもマンガちっくなキャラクター、そして、金持ちの年寄りが

自分の分身として・・・とか、子供を亡くした両親が、その子のクローンを・・・とか(アトムか!?)

哀しくなるほど因果な依頼者の諸事情に、

「SFやなぁ」とつぶやきつつ思いにふけってしまいました。





このイラストのタイトルは、もちろんP.K.ディックの

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(ハヤカワ文庫)をもじっています。

この作品、『ブレードランナー』の原作として有名ですが、

ハリソン・フォードがかっちょいい映画版と比べると、かなり話が重苦しい。


・・・核戦争後の荒廃した地球で、主人公のデッカードは、逃げ出したアンドロイド

(レプリカント)を追う賞金稼ぎをして生計を立てています。

放射能の影響で、いつ“特殊者”(スペシャル=子供を作ってはいけない)の烙印を押されるか、

びくびくしながら、希少となった“生身の”動物を飼うことが、その時代 の人々の夢。

デッカードも、うだつの上がらない生活を続けながら、アンドロイドを殺した金で

いつか本物の羊を飼いたい、と願うのでした・・・。






現代なら、ゼロゼロナンバーたちもクローンの夢を見るでしょうか?

残された自分の生体部分からクローンを造り、脳を移植すれば、

彼らは「生身の身体」に戻れるわけで。

「ていのいい身体障害者(byハインリヒ)」である彼らにとって、それは

暗い、甘い、誘惑かもしれないなぁと思います。

現代の医療は、お金を出すか出さないか、治療を受けるか受けないか

選択肢があまりにも多すぎるんじゃないでしょうか。

もし、自分や自分の愛する人の命が、とても追いつめられた状況に陥ったとして

たとえ倫理にはずれていたとしても「こんな方法もあります」と目の前に

メニューが広げられたとしたら・・・どこまでがYESで、どこまでがNOか

きちんと選べる自信、私にはありません。



★BACK★
inserted by FC2 system