サイボーグはクローン羊の夢を見るか?
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クローン人間は、ついに誕生してしまったんでしょうか?
得意気に記者会見する女性科学者を見た時の、私の第一印象
『怪物島編』の、ドクターセム氏にそっくり・・・。
(彼の名前、今出版されている本ではドクターマム氏になってますね。
その配慮は重々わかっているのですが、でも私にとってはやっぱりセム氏なんだよなぁ・・・)
彼女のあまりにもマンガちっくなキャラクター、そして、金持ちの年寄りが
自分の分身として・・・とか、子供を亡くした両親が、その子のクローンを・・・とか(アトムか!?)
哀しくなるほど因果な依頼者の諸事情に、
「SFやなぁ」とつぶやきつつ思いにふけってしまいました。
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このイラストのタイトルは、もちろんP.K.ディックの
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(ハヤカワ文庫)をもじっています。
この作品、『ブレードランナー』の原作として有名ですが、
ハリソン・フォードがかっちょいい映画版と比べると、かなり話が重苦しい。
・・・核戦争後の荒廃した地球で、主人公のデッカードは、逃げ出したアンドロイド
(レプリカント)を追う賞金稼ぎをして生計を立てています。
放射能の影響で、いつ“特殊者”(スペシャル=子供を作ってはいけない)の烙印を押されるか、
びくびくしながら、希少となった“生身の”動物を飼うことが、その時代
の人々の夢。
デッカードも、うだつの上がらない生活を続けながら、アンドロイドを殺した金で
いつか本物の羊を飼いたい、と願うのでした・・・。
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現代なら、ゼロゼロナンバーたちもクローンの夢を見るでしょうか?
残された自分の生体部分からクローンを造り、脳を移植すれば、
彼らは「生身の身体」に戻れるわけで。
「ていのいい身体障害者(byハインリヒ)」である彼らにとって、それは
暗い、甘い、誘惑かもしれないなぁと思います。
現代の医療は、お金を出すか出さないか、治療を受けるか受けないか
選択肢があまりにも多すぎるんじゃないでしょうか。
もし、自分や自分の愛する人の命が、とても追いつめられた状況に陥ったとして
たとえ倫理にはずれていたとしても「こんな方法もあります」と目の前に
メニューが広げられたとしたら・・・どこまでがYESで、どこまでがNOか
きちんと選べる自信、私にはありません。
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