how does it go ?

−原作『移民編』より−
  by 繭さま




以前繭さんからSS「arbeit−平ゼロ第18話『張々湖飯店奮闘記』より−」を頂いた時、

私はあつかましくもリクエストを4つ挙げていました。

その筆頭が、この原作『移民編』ネタだったのです。当時の私のメールをご紹介すると・・・。

「あの作品で、3はギル研に住み、9は近所(でも車で移動する距離)に一人暮らししてますよね?

 でも二人は恋人同士で。

どんな感じで連絡とったり、会ったりしてたのかなぁ・・・と。

司令官の衝撃子孫発言(笑)を聞いて、二人はどんなふうに思ったのかしらん・・・とか、

もしやそれで同居を決めたか???とか

いろいろ楽しそうなエピソードがありそうな気がするんですが・・・。」


・・・今読むとなんか何をつらつら妄想してんだか、我ながらあきれますが(^_^;)

好きなんですよね、『移民編』。

それでですね〜。繭さんは通常平ゼロフランちゃん視点のSSを書いてらっしゃるにも関わらず、

「これも書きましょう!!」と優しく引き受けてくださったのです〜〜〜vv

9番さんの表記もちゃ〜〜〜〜んと「ジョウ」ですよ〜んvv ふふふ〜〜〜vvv

というわけで今回も僭越ながら、イメージを付けさせて頂きました。

原作モードにしてみたのですが、どうでしょうね〜?

では、はじまり、はじまり☆









「やっぱり私、パリへ帰るわ。」

「フランソワーズ…!?」

  



だって…。



**************



「で、お前らはこれからどうするんだい?」

夕食後、ソファでコーヒーを飲みながら、唐突にジェットが尋ねてきた。

砂漠からの帰還後、研究所を新しく立て直し徐々に落ち着きを取り戻してくると

みんなは三々五々、それぞれの国へ戻っていった。



「さぁグレートはん、店を再開するよぉ!またバンバン稼ぐよろし。」

そういって張大人はまっ先に店へ戻っていった。

ジェットも明日、アメリカへ帰る。



「そうねぇ…。」

お兄ちゃん。どうしているかしら。

なにも言わずに出てきてしまったから、心配しているだろな。



最後に舞台に立ったあの日からもう1年近く経つ。

バレエへの未練はあったけれど、あの時はジョウについていこうと決めて…。





「そうだなぁ、ボクもそろそろ自分の家に帰ったほうがいいかなぁ」

えっ!

思わずジョウの方を振り返る。

「ジョウ、お前、じぶん家って、あったのかぁ?」

私以上にジェットのほうが驚いた声を出す。

おかげで私はなにも発する事ができなかった。



「失礼だなぁ、ジェット。そりゃ、前の家は破壊されちゃったけどさ。

ボクだっていつまでも博士のやっかいになる訳にもいかないだろ。」



「ま、それもそうか。以前は別々に暮らしていたんだからな。」

ジェットはひとり納得し、コーヒーを口にする。

「でもいいのか?それで。」

そう言うと、ジェットはちらりと私に視線を向ける。

私の心の中を見すかされたかのようなジェットの態度に、動揺を覚えつつも

私自身は何も発言する事が出来なかった。



一方、ジョウはと言えば

「え?別に何も問題はないだろう、ジェット。」

なんて、何の疑問ももたずにそう行ってのけた。もう!

私のことなんて、全然お構いなしなのよね。



「お前さんがそう言うんなら、いいんじゃない。で、どのアタリに住むのさ。」

「いや、それはまだ…。」

「じゃ、どのアタリがイイか探しにいこうぜ。車だせよ。」

「え?こんな時間にかい?不動産屋だって開いてないよ。」

「下見だよ、下見。俺は明日帰るんだぜ。今しかないじゃないか!」

「無茶苦茶言ってるな〜。」

「いいじゃないか、夜のドライブってことで。フランソワーズ、お前さんも行くだろ?」

「いいえ、結構です!」

そう言ってキッチンへ戻った。



「なんで怒ってるのかな?フランソワーズは…。」

「お前、その性格何とかした方がいいぞ。」

ふたりでこそこそ喋っているつもりなんだろうけれど、筒抜けなんだってば。





**************



それからまもなく、ジョウは本当に新居を決めてきた。

研究所からそんなに離れていない場所にこじんまりとした洋館を見つけたのだという。

「日本にもこんなところがあったのね。」

「うん。もともとは日本に長期滞在する外国人の為に作られたものらしいよ。」

部屋数は少ないけれど、天井が高くて、落ち着く感じ。

なんとなくパリのアパルトマンを思い出した。



「ここからは海が一望出来るのね。ねぇ、この家にしたのはここが決め手?」

「いや…ガレージが広かったからなんだけど。でも、そう言われればそうかもしれない。」

研究所でも、よくジョウは海を見つめている。それって無意識?

ひょっとして、今回の家の件もそうなのかしら…。



「ねぇ…ジョウ。どうして研究所を出ようと思ったの。」

「そりゃ、みんなもそれぞれの生活に戻ったし、ボクだってね。」

「本当にそれだけ?」

「あとは…そうだなぁ、レースをやっているとさ、なんだかんだと後をつけまわる輩がいたから、

君達に迷惑がかかっちゃ大変だし…」

「私達に?…ふふ。私がパリに帰らないっていう自信があったの?」

「え…?帰るつもりだったの?」

思ってもみなかった事を言われたかのような表情でジョウはこっちを見る。



「ひどいわね。私にだって帰るべき場所はあるのよ。」

「いや、ごめん。でも、君はてっきりここに残るつもりだと…勝手に思い込んでいたよ。」

ちょっと頭をかいて、それからジョウは私の目をじっと見つめると改まった顔でこう言った。

「それとも…やっぱり帰るの?」

そんな顔でみつめられたら、帰るなんて言える訳ナイじゃない。

「いじわるね。」





離れて暮らすといっても同じ日本。

レースの仕事に復帰したにもかかわらず、ジョーはほぼ毎日と言ってイイ程

研究所にやって来る。

でも今日はグレートと張大人も一緒。

なんだか怖いといぶかる私に「心配性だな」と笑うあなた。

なのに、不安は的中した。



**************





「で、お前らはこれからどうするんだい?」



未来人が過去へタイムワープをするのを見送った後、

ハインリヒとジェットはちょっとニヤニヤしてジョウと私を交互に見た。



「え、どうするって?」

ジョウは相変わらずすっとぼけている。

私の気持ちなんて考えちゃぁいないのかしら。

さっきの司令官の言葉が私の頭の中でリフレインする。





『ふたりは私の遠い御先祖…』



ということは…



顔が火照る。

考えないようにしても、やっぱり意識してしまう。

そんなこと果たしてあり得るのかしら?近い将来に…私達。



「私、ちょっとパリへ帰ろうかな。」

ふいにこんな言葉が口をついて出た。

「フランソワーズ…!?」





ごめんなさい。今はマトモにあなたの顔が見れないの。










いや〜〜〜ん、こそばゆ〜〜〜〜〜い(((*^.^*)))

そうそう、ジョウといえば海なんですよね! さすが繭さん、わかってらっしゃる!!

心底、嬉しかったです(^^) 繭さん、ほんとうにありがとうございました。





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