完結編を待ちつつ読みたい石ノ森萬画【とにかくオススメ!編】


『さんだらぼっち』
★★★★★★★★★★★★★
(1975〜81年・83年 ビッグコミック連載)
小学館 ビッグコミックス:全17巻/小学館文庫:全6巻/嶋中書店(コンビニ本):刊行中/秋田文庫『Shotaro浮世草子1〜3』に一部掲載


★ダイジェスト★

ときは大江戸 花街吉原全盛の時代
吉原大門そばに店をひろげる 一軒のおもちゃ屋
ここに 巷で『とんぼ』と呼ばれる男がいる
こいつの作る竹トンボ,凧はとてもよく飛ぶ
でもそれだけじゃあない……
とんぼにはもうひとつの商売があるのだ
さてその「始末屋」とは…?

作者が意図的に“あっさり”明るく描いたという
江戸吉原「廓もの」甘くやがて悲しい人間ドラマ
ビッグコミックで好評につき6年間も連載された時代物漫画の秀作

ちなみに題名『さんだらぼっち』は稲こづみのことを指すものだとか…

【人参のしっぽ記】

           


★入手状況(2004年11月現在)★

ひょいっと1册だけ古本屋にあったりするけれど、通しで入手するのは難しい本作。

小学館文庫版ビッグコミックスからの抜粋、
コンビニ本(2巻で発行中止??)はさらに文庫版からの抜粋です。

83年の『さんだらぼっち外伝』は単行本化されていません。読みてぇ〜〜〜〜〜!!
ドラマ化されたりして、完全復刻しないもんでしょうか。

【るな記】



入手困難:小学館ビッグコミックス 全17巻
     小学館文庫 全6巻
     いずれも未収録作品あり 完全版出してくださーい!(切に希望)

新刊入手可能:秋田文庫『Shotaro浮世双紙』部分収録
       定価600円 現在3巻まで刊行

【人参のしっぽ記】



ビッグコミックスB6版なら1冊1,500円はすると思います。
流通量は多くありませんが、小学館文庫ならば1冊100〜350円位。
それから少し前、コンビ二本で刊行されていました。

【緋鳥記】

       

★ここがオススメ!!★

江戸前の歌舞伎では、遊廓がしばしば舞台になります。
お家を取り潰されたお姫さまが花魁になり(!)お家が再建されたら、澄ました顔で
元の座におさまったりとか(@_@;) 遊女が身請けされて大店の嫁になったりとか(@_@;;;)
都市建設のために人夫が全国から集められ、江戸の街が慢性的に女不足だったから
こういう今のモラルでは??な展開があり得たようです(いや今もあるのか?)。

というわけで、本作の舞台は吉原。
花のお江戸の“必要悪” 艶と粋と情にはこと欠きません。
借金取り立て業=業界裏話=も、おじさまターゲットのナイスな設定だと思います。
しみじみといい話が多く、長く続いた作品なのに、流通量が少ないのは
やっぱりタイトルと表紙が地味だからか・・・;

移りゆく季節のなかで展開されていく、とんぼ×志摩の恋模様がめちゃめちゃツボ!(*^^*)
とんぼがいつか、出戻りである自分より他の女を選ぶんじゃないかと心配しながらも
ちゃきちゃきっと年増のお色気で翻弄するお志摩さんが、すっごくイイですvv
とんぼもね、子供の時からずっと好きだったアネさんが嫁にもらわれて行く時、
どんな気持ちだったのかな〜とか、それが出戻って来た時はどうだったんだろう・・・とか
きゃ〜〜〜〜〜〜〜切ないゼ!!

illustrated by るな 



ゼロナイでは大の苦手な“他の人に揺らいじゃう話”も、この作品だったら
すんなり受け入れられるのは、やっぱり世界観が大人だからなんでしょうね、きっと。
プロポーズのシーンがきっちり描かれているのも、良いんです。

30代後半〜40代の石ノ森先生が描きたかったのは、もうゼロナイではなく
こういう人情もの、時代ものだったのかもなぁ・・・と思ってみたり。

ところで『流転』の1シーン、大橋を渡って浅草詣でのとんぼとお志摩。
お志摩がとんぼと腕を組みつつ「あたしたちどう見られてるかしら・・・?」

これって新ゼロ『あした鳴れ愛の鐘』じゃございませんか?!

掲載時期もちょうど新ゼロ直前、もしかして元ネタなのかもしれませんvv
とはいえ、この後のセリフ
「・・・どうって 母子には見えねえ、と思うけど・・・」
「ウ〜〜〜ン! バカ! “若夫婦に”ぐらいいえないの〜〜〜!!」
は新ゼロの二人には決して吐けないと思われますが(笑)

脇役が生き生きしているのも、この作品の魅力!
親父さん、イナ公、与の字、青蛙堂(グレートそっくり;)、みんないい味出してます。
エピソードでは『遣手』とか『二階のお姉ちゃん』とかすごく好き。
評価はちと甘いかなとも思うのですが、登場人物がまるで本当にいるみたいに
ひさびさにハマった!! ということで★5つにさせていただきました(^_^)

【るな記:評価★★★★★】


     


図体でかく ぬーぼーとした居候 『とんぼ』
ちゃきちゃきと さばけて口のたつ看板女将『お志摩』
大きな丸眼鏡がトレードマーク お志摩の『親父さん』

主要登場人物はこの三人
主人公とんぼ うだつがあがらない おもちゃ屋の居候
おもちゃ作りが生業(なりわい)だが 本業は「始末屋」
吉原 遊郭のツケを店に代わって取り立てるのが仕事

取立てといっても 身体が大きいだけだから凄みはない。
当然支払いは、はぐらかされるわけでして… (^^;
ところが とんぼ 外見に似合わず手先が器用なのです。
それで結構頭も切れて いろいろ発明もする。

だのになぜ商売に活かされないのか?
始末屋稼業最大の欠点はひとが良すぎるのであーる (爆)
けだし人情に厚くて、貧しい者には金銭を工面し
金持ちは機転と創意工夫を利かせて それとなく巻上げてしまう (^^)

おおきな事件が起こるでもないし
派手な斬りあいやアクションもない
ただ吉原に関わる江戸庶民の淡々とした日常を描いているだけ…

それでもなんとなく作品に引き込まれ
ほんわか和んでしまうのですよー
お世辞にも美男子とはいえない とんぼ 彼もしか癒し系?(笑)

そんな彼が惚れているのが お志摩姐さん。
まだるっこしいほど進まないふたりの仲にも ヤキモキさせられます。
(ここいらへん ゼロナイと類似か;;;)
最後どうなるかは読んでのお楽しみ♪

【人参のしっぽ記:評価★★★★☆】

          



「吉原の<つけ料金>徴収業」という特殊な仕事を生業とする「とんぼ」と、
出戻り女「志摩」を中心とした、江戸情緒日記といった感じの作品。

時代は変わっても『あかんべぇ天使』などと同様に、庶民の生活に根ざした
長屋モノなんかの描写はすごく上手いと思います。

【緋鳥記:評価★★★★☆】



◇◆『さんだら93』のお部屋◆◇
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